いぢわる王子様
☆☆☆

その日の放課後まで、当然私は体操服のままだった。


しかも、この格好のまま帰らなければならないから、一秒でも早く家に着きたかったのだ。


そんな私を引き止めたのは、更衣室で出会った、あの先輩だった。


「あれ? 君まだ体操服なんだ?」


学校を出てすぐのところでそう声をかけられて、足を止める。


「そうですけど……」


「これから、部活ってワケでもなさそうだね?」


「はぁ……」


曖昧な返事をした時、私の携帯電話が震えた。


すぐるからのメールだ。


《今日は、何もなかったか?》


まだ、制服のことを話せていなかった私は、どう返事をしようかと迷う。

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