いぢわる王子様
キョトンとしていると、律が私の首筋を指差してきた。


「これ。この時期に虫にかまれたりはしないよなぁって、ずっと気になってたんだけど」


「虫……?」


一瞬、何のことか理解できずに首をかしげる。


しかし、次の瞬間、思い出した!


すぐるにつけられたキスマーク!!


まだクッキリと残っていたのだ。


咄嗟にその場所を手でかくし「何でもないよ」と言いながら、ポテトを揚げる。


油がジュワッと音を立てて、おいしそうな香りがフンワリと広がる。


「碧~! ごまかすな!!」


「ちょっ律、油使ってるんだから危ないってば!!」
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