いぢわる王子様
「でもさ、碧がちゃんと先輩に返事しなきゃ、私の恋は前に進めないから」


そっか……。


そうだよね。


私が返事しなきゃ、律は先輩に想いを伝えることなんてできないよね。


「碧。だからって返事をせかしてるとか、先輩を振ってほしいとか、そんなんじゃないよ?」


律が顔を覗き込んできて、私の、眉間に刻まれたシワに触れた。


「ゆっくり、碧なりに真剣に考えて答えを出してね?」


律に触れられたシワが、スッと伸びていく。


少し、心が軽くなった感じだ。


「ありがとう、律」


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