いぢわる王子様
私が律にそう言ったとき、先生がやってきた。


「お前ら、もうここはいいぞ。客も減ってきたし、せっかくだから花火を近くで見てこい」


「いいんですかっ!?」


パッと笑顔になり、そう聞き返す前に私と律はすでに屋台を出ていた。


走りながらハッピとエプロンを脱いで、他のクラスの屋台にポイッと投げ込む。


それを受け取った友達が「ちょっと碧! 律!!」と文句を言う声が、後方に聞こえてくる。


それから、律と私はまるで小学生のように手を握り合い、屋台の群れから離れていった……。
< 231 / 403 >

この作品をシェア

pagetop