いぢわる王子様
☆☆☆

人波から少し離れた広場からだと、花火は建物に隠れることなくキレイに咲いた。


一応ここは穴場なのだけど、数人の先客たちがいた。


しかも、カップルばかり。


「キレイだねぇ」


広場の真ん中に、制服が汚れることなんてお構いなしに、律が寝転ぶ。


私も、その隣に寝転び、空を見上げた。


肌寒いけど、お祭りの熱を浴びた後なので心地いい。


油の匂いも、風に乗って取れるかもしれない。


花火から少し視線をずらすと、小さな星の姿も目に入った。


「これなら、カップルで来たくなるよねぇ」


と、律。
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