いぢわる王子様
誠先輩はそう言い、私の頬をつついてきた。


なんだか子供扱いされているようでくすぐったくて、自然と頬を膨らませ、眉間にシワをよせ、抵抗した。


「アハ。なんかいいねこういうの」


「え?」


「カップルっぽいっていうのかな? そんな感じしない?」


カップルっぽい……。


そういえば、カップルって手をつないで歩いたり、ちょっとした事で笑いあったりするものだよね。


「そうですね。……いきなりキスなんて、普通しないですよね……」


すぐるの顔が、瞬きするたびにパッパッとフラッシュのようによみがえる。


「……あいつとは、手つながなかったの?」
< 259 / 403 >

この作品をシェア

pagetop