いぢわる王子様
「え……?」


すぐるは私の涙を、ペロリと舌でなめ取った。


「メソメソしてんじゃねぇよ」


そんなこと、言われたって……。


体温が、急激に上昇していく。


『好き』とか『愛』とか、そんな簡単な感情が、沢山の感情と混ざり合っている。


すごく近いのに、遠い感情。


まるで、すぐるにもらったあのスーパーボールのように。


私は、スッとすぐるから体を離した。


本当は、離れたくない。


けど、ちゃんとケジメをつけなきゃいけない。
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