いぢわる王子様
イイナズケ。


すぐるの声でその言葉を聞くと、息が詰まる。


「けどな、碧」


すぐるは、手の中に握り締めていたものを私に見せた。


あ……。


スーパーボール……。


それを電気の明かりに向けて覗き込む。


「俺、言ったよな」


「へ?」


「『俺の碧への気持ちは、いつでもこの中にある通りだ』って」


「あ……うん」


お祭りの時のことだ。

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