君の声。
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「ハァッ…、」
陸ちゃんの家をチャイムを鳴らす。
家には灯りがなく、真っ暗だ。
こんな時間だ。寝てるかもしれない。
普段ならそう思うかもしれない。
でも、頭に何故か陸ちゃんの姿が浮かんで、
無性に泣きたくなって、縋る思いでドアに手を置いた。
キィー‥
微かな金属音がして、陸ちゃんの家のドアが開いた。
薄暗い月明かりに照らされた廊下を見て
「ぁ‥」
家の中に、震える足を踏み入れた。
「…陸ちゃん……?」
壁をつたい、彼の名前を呼ぶ。
呼びかけに応える声はない。
聞こえたのは、
ジャー、、、とよく聞く水音だった。