君の声。
「………」
ただ、
何も考えないようにと、
震える足で歩みを押し、聞こえる水音の元に、私はすぐそばにいた。
ドアを押して、
私は水音のする場を瞳に映した。
「…………ぁ……」
湯気の立つ湯が、
彼の身体を濡らしていた。
湯船からは、透明な液体と、朱い液体がまじった色に染まっていた。
朱い液体は、彼の白い手首から、
彼の手首の、裂けた傷から、
流れていた。
「……………ぁ、……………………………ぁ、あ、……」
ぴしゃん、と私の足下から水音がする。
そっと、彼の頬に触れた。
お湯にあたっていたせいか、それともまだ直後だったのか、
彼は暖かい。
「……………ぁ、……………ぃ、…いゃ、いや、、、いやぁぁあああああああっっ……」