君の声。
闇
†side:陸†
「…………」
気づけば闇にいた。
「…ここ、どこだ?」
見渡してみても、見えるのはただ闇でしかない。
前も後ろも、右も左も、上も下も、
どこもわからない。
ただ立っているという感覚だけがあった。
周りに広がる闇が、ただここは皆がいる世界ではないとわからせていた。
寒さも、暑さも、眠気も空腹も痛さも感じない。
「…死んだのか?」
ー俺は
皆は、遺言を見ただろうか。
柄にもない事を書いたと思ったが今の俺には何もできない。
‥雪には、たった二行しか書いていない。
ごめん。
ありがとう。
ただそれだけを書いた。
それでも書く手は震え、唇を噛み締めながら書いた。
そうしなければ、余計な事を書いてしまいそうだったんだ。
ー好きだった、と。
死んでいく自分に、伝える事などできないのに。