君の声。
「…行くよ、一緒に」
そう言って、親父の方へと手を伸ばした。
「……ァ……」
親父の手が、俺に触れるその時だった。
『陸ちゃん!!』
ービクッ
親父は手を止めて、肩が震える俺を見る。
いま、なんでー‥
『陸ちゃん!!』
「…ゆー‥」
後ろを向き、君の名を呼びながら踏み出そうとしていた。
けど、
どこに、どこに踏み出せばいい?
いや、一歩は踏み出していたんだ。
けど、俺はー‥
「……リク、」
『陸ちゃん!』
やめろよ。
「……リク、」
『陸ちゃん!』
やめろよ
やめろよやめろよやめろよやめろよやめろよやめろよやめろよ…!!
「やめてくれぇええええぇぇえぇええええ!!!!」
頭を抱え、走り出す。
なんでだ!
「…なんで、なんっ‥なんで……」
『陸ちゃん』
今、俺が聞こえる声と見えるのは君なんだ。
駄目だ。
雪、
駄目なんだよ。
もう君を、見たくない。