君の声。
†side:陸†
「ぅ゛わぁあぁああ゛ああっ……」
どれだけ走ったのか
わからない。
ここでは疲労を感じる事はなかった。
息が切れる事も。
だからただ走って、雪の声が聞こえないように
「ハ、ハハ‥」
乾いた笑い声が響く。
俺は、浅ましい。
雪の幸せの為にと、全てひた隠しにしていた。
だが結局は自分が雪に拒絶されるのが怖かっただけ
だって、心はまだ
こんなにも君に焦がれてる。
膝をついて、顔を覆う。
会いたいと願い、傍にいたいと願う。
俺はなんて自分勝手なんだろう。
‥だけどそんな自分勝手な自分を止めるなら、
君に、拒絶してもらうしかないんだ。
あぁ、
「ハハ‥」
君への恋は
「ハハ、ハッ‥」
なんて残酷なものなのだろう。