君の声。
座り込み、目から落ちる雫
その涙は、どこへ落ちたのか
確かに頬を伝う涙の感触はあるのに、
床に落ちた液体の水音は聞こえない。
まばたきすらせず、ただ呆然として、
その内に、涙もでず、瞳が乾いてしまっていた。
ふと、気付くと目の前に親父が立っていた。
表情はないままで、俺に手を伸ばしてくる。
「…あぁ‥今行くよ。」
そう言って、親父の手に自分の手を伸ばした。
その時だった。
[待って下さい。]
そんな、抑揚のない声がした。