君の声。
ドクン、
そう頭の中で言った瞬間。心臓が跳ねた。
胸に手をあてて、感じる鼓動を確かめた。
あぁ‥俺、生きてんだ。
まだ、生きてるんだ。
じゃぁ、まだ。
雪の傍にいられるー‥?
そう考えて、頭を思い切り振った。
そうだ。
駄目だ。もう決めたんだから。
「‥親父」
親父の方を見て、決心する。
「…行こう‥」
今度こそ、俺は親父の手に触れようと
したんだ。
けど、親父を通して見えたあの少女の顔が
『‥陸ちゃん』
幼い日の、あの記憶の、雪に見えたー‥