君の声。
声も、
陸ちゃんの見える映像も、
陸ちゃんの、苦しみもー‥
「…私は、何一つだって‥ごめ、ね‥おばさん。私に、も‥わか、んな……」
何一つとしてわからなかった、彼の気持ち
私は一体、何を、彼の何を見てきたんだろう。
ただ幼い頃に抱いた、淡い恋心そのままで、彼を好きでいた。
本当の彼を知らないまま。
楢橋君から話を聞いた時、
私の気持ちは変わらなかっただろうか。
幼い想いは、月日が流れ、やがて女の恋情に変わって
愛おしさに変わった。
彼を慕う、恋心だけは、変わりはしなかった。
「…雪ちゃん、あの子の、貴女に向けた想いを、………ね?」
私の両手に、おばさんの両手が重なる。
握り締めた手紙の封を、私は開けた。