君の声。
†side:摩月†
「乃愛」
病室の前の廊下で会った陸の姉、乃愛
俺の幼なじみ。
「まだ休んでていいぞ?」
「平気。アンタこそ休んできなよ。」
そう言って渡してきたのはスポーツドリンクと手紙
「……俺は平気だよ。‥これは?」
「陸から、アンタに。」
聞けば、全員に書かれた手紙
開けば、随分と陸らしい
遠回しに感謝と核心をつけた手紙。
「…なんて書いてあるか聞かないのか?」
「…それはアンタ宛て」
「…そか。」
乃愛と話すのは久しぶりだった。
昔は‥まぁ、あんまり仲が良かった訳でもないが、今よりは話をしてた気がする。
「…ねぇ、」
「ん?」
乃愛が話しかける。顔は背いたままだが。
「…大丈夫よね。」
開いた距離でもわかる。
震えている彼女。
「…大丈夫だよ。」
だから、泣くな。
彼女の泣いた顔は、苦手だ。