君の声。





触れそうになる、右手に、力を込めて拳を作る。



爪が血がでる程に食い込む。




高鳴る鼓動に、息を吸って、




「ーっ触るなっ…!!」



そう言って、拒絶した。



触れようとしていた手が、止まった事に気付く。



後ろを振り返り、真っ直ぐ見据える。




「…ごめん。
さっきまで、本当に親父と一緒にいくつもりだった。

‥だけど、気付いたんだよ。俺は、雪に何も言わないまま逃げたんだって。

このままだったら、俺は今の親父と同じように、この世に、雪に、執着しちまう。

そんなの駄目だ。‥駄目なんだよ‥雪にあんな思いはさせたくないんだ…」




‥だから、




「一緒には、いかない。」




俺ははっきり、拒絶の言葉を言った。











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