君の声。





触れた彼の指




それを頬に当てていた。



頬に、少し風を感じ目を開ける。




彼の手から頬を離す。




「‥陸、ちゃん……?」



声を、掛けた。




長い彼の睫毛が少し震え、黒い瞳が私を映す。




「……ゅ、…き……?」


「…りくちゃっ……」




かすれた、彼の小さな声



それでも確かに聞こえて、




「りくちゃ…陸ちゃん、……わかる?……私……」




霞んだ瞳からぼろぼろと零れる涙のせいで、彼がぼやけて見える。




それでも、
彼が私の頬に触れてくれたから




確かに彼を感じる事ができた。




「りくちゃっ…ん……」


「……ん。」



「よかっ…よかったよぉ……っ」




よかった。




あなたが生きてくれて




本当に、よかった。











< 138 / 157 >

この作品をシェア

pagetop