君の声。
触れた彼の指
それを頬に当てていた。
頬に、少し風を感じ目を開ける。
彼の手から頬を離す。
「‥陸、ちゃん……?」
声を、掛けた。
長い彼の睫毛が少し震え、黒い瞳が私を映す。
「……ゅ、…き……?」
「…りくちゃっ……」
かすれた、彼の小さな声
それでも確かに聞こえて、
「りくちゃ…陸ちゃん、……わかる?……私……」
霞んだ瞳からぼろぼろと零れる涙のせいで、彼がぼやけて見える。
それでも、
彼が私の頬に触れてくれたから
確かに彼を感じる事ができた。
「りくちゃっ…ん……」
「……ん。」
「よかっ…よかったよぉ……っ」
よかった。
あなたが生きてくれて
本当に、よかった。