君の声。
「違うんだ。
俺はそんな立派なんかじゃない。言わなかったのは、自分のためだよ。」
「…自分の?」
「そう。
情けないけど、雪に嫌われるって思ったんだ。あの日、雪は傷つけられた時の事を忘れたって聞いて、本当は嬉しかったんだ。」
自分と仲が良かったせいで、あんな目にあってしまった。
目が覚めた彼女は、どんな目で自分を見るだろう。
恐怖?
軽蔑?
それとも同情?
どうしようもなく怖くて仕方なかった。
だけど君は忘れていた。
自分を守る為に。
俺は心底ホッとしたんだ。
忘れてくれた。
君が俺をそんな目で見ることはないって
「雪は自分を守る為に忘れたのに、俺はそれを利用してた。」
狡くて汚いエゴ
わかってた筈なのに。
手放せなかった、醜い心
そんな心で、君を想う資格はないだろう。