君の声。





伝えた瞬間、まるで時が止まった様だった。




俺は雪の瞳を真っ直ぐ見て、離さなかった。




雪の唇が、ホッと吐息をついた様に開いた。




けど、ごめん。




「…明日になったら、忘れていい。だけど、我が儘だけど俺が言った言葉を、なかった事にはしてほしくない。」




何年もの気持ちを、偽りにしたくはなかった。




拒絶されたって、嘘にはできない。




「なかった事にしてくれなきゃ後はいい。返事も好きな様にして。するかしないかも。」




全て君に任せよう。




君の手で、終わりにできるならそれでいい。




君がいたから、この気持ちを手にできたんだ。




「もし返事をするなら、ハッキリ振ってほしい。雪の言葉で、気持ちで、言ってほしい。」




そう言って笑った俺は、案外自然に笑えていたんだ。




不思議と、心が軽い。




怖いのに、これで終わりにできるという安心感のようなものがあるのかもしれない。











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