君の声。
「行ってきます。」
「「行ってらっしゃーい♪♪」」
テンションの高い母娘。
俺のウチは母子家庭。
「陸ちゃんっ♪」
玄関を開けると、笑顔の彼女がいる。
腰まである長い髪に、白くて細い華奢な身体。
身長は俺とは20㎝も違う。チビ
真田 雪
サナダ ユキ
16歳。
俺の幼なじみ。
ピンクのマフラーを巻いて、鼻、真っ赤にして、また俺を待ってたのか…
「陸ちゃん、おはよ♪一緒に学校……」
雪の言葉を無視して1人歩く。
「陸ちゃん!待ってよー!!」
後を追う雪。
「今日、寒いね♪」
雪の唇は見ない。
ただ前を見て歩く。
これももう、日常茶飯事だ。
雪も、返事が来ないのなら話さなきゃいいのに。
俺は雪の言葉を無視する。
それが彼女の為でもあり、俺の為でもあるのだ。
君を、
守るためだからー‥
ごめんな、雪。
君が好きだよー‥