君の声。





「陸ちゃん、米沢先生が後で職員室来てだって」




雪が言う。




「あぁ…ドーモ。」




そう言って顔を背ける。




俺にとって、この行動は会話終了ということ




だって、仕方ないんだ。




俺は何も聞こえない。




たった1人、




この世界で一番大切な娘の声も聞けない……




「じゃぁ…もどるね…♪♪」




聞こえない。




雪が離れて行くのがわかる。




雪と俺は幼なじみ




保育園から高校まで同じ。




小5までは、俺も普通だった




雪の顔を見て、




雪の声を聞いて、




楽しく笑いあっていた。




ただの幼なじみという関係は変わらない。




変わってはいけない。




ガキの頃から雪が好きだった。




大人になるたび、その想いは強まる。




けど…伝えてはならない。




俺はダメだから…




雪に俺は、相応しくないから。








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