君の声。





一瞬辛そうな顔をしてから、力無く微笑んだお兄ちゃん




「…お兄ちゃんは、そんな恋をしてるの?」




そんな風に笑う相手が、いるの?




そしたらお兄ちゃんは笑って言った。




「俺の恋より、お前の恋だろ?」




踵を返して片手を振りながらリビングに入っていった。




‥てか、ズルいよ。
人には好きな人言わせといて自分言わないとか!



て、まぁバレバレだったんだけどさ。




「‥相手が踏み出せないなら、自分が踏み出す。かー‥」




パチンッ




両頬にビンタを入れて、よし!と気合いを入れる。




そうだよね、
相手がって言ってるのは言い訳なんだ。




自分が怖いだけなんだから。




伝えるのを怖がってしまったら、




何も始まらない。




例えこの想いが届く事なく終わってしまっても




伝える事ができたなら、きっとこの想いを、終わりにできるよね。











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