COOL LOVER


「……言えない、ワケ?」



ブンブンと首を横に振る。



「……ごめん。電車来ちゃうから離して。」



涙を拭うことも出来なくて、下を向いたまま言う。


掴まれた腕が痛い。




「話す気はないんだな…?」


「……離して…」


「はぁ…」



なんで…

なんでため息つくの?



ため息つきたいのはあたしだよ。

話す気 って…翼くんが話すことじゃないの?



「…離して…って、言ってるじゃない……!!!」




バッ


思い切り腕を振り払う。



びっくりしているのか、ちょっとだけ目を見開いてる翼くん。


それでも…やっぱり無表情。




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