先生さまはキスで繋ぐ
先生は反対です
学校に内緒ではじめたアルバイト。
小さい頃からよく面倒をみてくれていた伯母さんが紹介してくれた、わりのいいバイト。
お小遣い稼ぎのつもりで、わざわざ電車で1時間の町まで行って、私は喫茶店で働いていた。
時給1200円から。
とにかくこのバイトはわりがいい。シフト応相談だし、かなり融通がきく。
学校から遠いし、絶対にこんな喫茶店に来る学校関係者はいない。まさに理想のバイト先だった。
たとえ「ご主人様」と呼ばなければならなくても、「おかえりなさいませ」と言わなければならなくても、ブリッ子した接客が必要でも、それはそれ。
バイトはバイト。たった数時間我慢すれば、お金がもらえる。
要するに、私のバイト先は俗にメイド喫茶と呼ばれる、特殊な好みをもつ男の欲望の産物……とまではいかないか。つまり私はメイド喫茶でアルバイトをしている。
「アンティークチックメイドカフェ」と銘打たれたうちの喫茶店は、紅茶とお菓子にこだわる本格派の喫茶店。
本格派なのに、メイドカフェ。