先生さまはキスで繋ぐ
ご主人さまに尽します
「じゃね、ハルカ。明日、放課後忘れないでよー」
「カラオケでしょ。分かってるよ」
円華の部活が明日は休みだというのでカラオケに行く約束をして、私はひらひらと手を振る。
ガラじゃないかもしれないけれど、私は茶道部所属だ。
うちの学校には、いくつか兼部できる部活動というものがあって、茶道部もその内の一つ。
茶道部、華道部、書道部、美術部。この4つは活動する曜日が決まっていて、それぞれがかぶらないようになっている。
だからこの中のどれかに所属する人は、2つくらい同時に入っていることが多いのだけれど、私は茶道部にしか所属していない。
茶道部の活動日は金曜日。
だから今日は、私はとっとと帰宅して家でゴロゴロしようと思う。
靴を履き替えて校門を通り抜けた時、黒い車がスッと近づいてきた。
「……」
「乗りなさい」
メガネからサングラスにかわっている北口彼方は、窓を開けてそう言った。
「……なに? キスの次は誘拐ですか?」
「んなわけあるか。わりのいいバイト、したいんだろ」