先生さまはキスで繋ぐ
「はあ?」


「私のつい最近までの先生のイメージは、サイボーグで地味で面白くなくて白衣だったんだけど」


「白衣ってお前」


 先生は苦笑したようだった。


「つい最近までのってことは、今は違うんだ?」


「……キス魔で誘拐魔で実はイケメンで白衣」


「やっぱり白衣かよ」


 まあ、イケメンって言われることについては悪い気はしねえな、と、先生は笑った。


「なんでそんなに前髪伸ばしてんの? 顔が見えないでしょ」


「いーんだよ、俺の顔なんか、見えなくても」


「いいの?」


「うん」


 ――どうして、とは訊けなかった。


先生のサングラスの奥の目が、どんな色を浮かべているのかわからなかったから。


「……ねえ、北口先生」

< 28 / 75 >

この作品をシェア

pagetop