先生さまはキスで繋ぐ
「なに?」


「なんで、私のことが好きなの?」


「……」


「……」


「お前、直球すぎないか?」


「オブラートに包んでどうしようっていうの」


「まあ、そりゃあそうか」


 先生はまた、笑った。


よく笑うな、と思った。


本当に、前髪が長いの、もったいないな……。


「お前、去年の冬に化学の追試受けたの覚えてるか?」


「え? ……あー、うん、追試受けたね、そういえば」


 化学は嫌いで、苦手。


定期テストで欠点をとってしまって追試、というのはわりと頻繁にあった。


追試でギリギリ合格していつも進級できるのだけれど。

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