先生さまはキスで繋ぐ
「追試のための補習、自主参加だったけど、でも参加者がお前1人だけだったのは覚えてるか?」


「……ああ、そういえば」


 化学室の扉を開けたら誰もいなかったな、と思い出す。


「誰もいないし、コイツも帰るだろうなと思ってたら、お前、何も言わずにきちんと席に着いたろ」


「……だって、補習に出ないと自分じゃ勉強しないもん」


「それでいいんだよ。それで、あれ?と思って。1対1で勉強教えてるうちに、教師失格にも気になり始めてた」


「……ほんと、教師失格」


「言うなよ。気にしてんだ、これでも」


「なんでいつも白衣なの?」


「話がとんだな。……白衣は、ただの汚れ防止」


「なんだ。意外にも普通の理由だった。じゃあメガネは? 視力が悪いわけじゃないんでしょ?」


「顔を隠してるだけ」


「前髪と同じ理由なの?」


「まあね」


 私は、ふうん、と呟いて、

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