先生さまはキスで繋ぐ
 黒い車が走ること、30分弱。


 先生は新しげなマンションの地下駐車場へ車を滑らせた。


「え、ちょっと?」


 どう考えても、誰かの家に向かっているのだろう先生に、私は焦った。


「待ってよ。先生、どこに行くつもりなの?」


「俺の家」


「はあ!?」


 私は思わず運転席側に身を乗り出した。


「なんでよ!? バイト紹介してくれるって言ったじゃん」


「だから、バイトだろ」


「なんで先生の家でバイトすることがあんの」


 車をとめた先生は、シートベルトを外した。


そのまま外に出た先生を追うために私も車のドアを開ける。


「先生っ!」


「時給、1500円からでどうだ」

< 32 / 75 >

この作品をシェア

pagetop