先生さまはキスで繋ぐ
「なんで?」


 先生の口調は意外そうだったけれど、その表情は楽しんでいるようだ。


「なんかこう……モテすぎてうっとうしいから地味男クンやってますって感じだから」


「ふーん?」


 私の言葉に、面白がるように首をかたむける。


前髪がサラリと流れて目元をさらけ出した。


「……前髪」


「ん?」


 私は思わず手を伸ばしていた。


「前髪、切っちゃえばいいのに。その方がかっこいいよ、絶対」


「……遥は、それ天然でやってる?」


 先生は前髪に触れた私の手を掴んで、目を細めた。


「は?」


「……――いや、なんでもない。うん、考えてみる」


 そう言って、私の手をパッと離す。

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