先生さまはキスで繋ぐ
「……もう」


「でもよかった。そんなに怒ってないみたいで」


 先生はホッとしたような表情で言った。


「ちょ……ちょっと。怒ってないみたいでってそんな言い方!」


「あれ、怒ってんの?」


「……」


 たしかに、怒りはさめてしまったけれど。


 先生はフッと頬をゆるめる。


「ありがとう。許してくれて」


「……」


「ほんとは、やっちまった後にものすごい後悔したんだよなー……これで嫌われたらまったく意味ねえじゃんと思って」


「後悔するくらいならやらないでよ」


 口をとがらせると、


「うん。でも、学校以外の場所で初めて会って、テンションがあがってたんだよ。どうにかして『トクベツ』になりたかった」


先生は申し訳なそうに頷いて、けれど、そう言った。

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