先生さまはキスで繋ぐ
「……なに、それ。好感度あげようとしてる?」


 まっすぐな視線に耐えられず、照れ隠しのようにそう言うと、先生はヘラッと笑った。


「バレた?」


「……何歳よ、あんた」


「もうすぐ三十路」


「自覚があるだけ軽症だね」


 私は部屋をぐるりと見回して、フッと鼻をならした。


「……まあ、そうだね。バイト、変えてもいいよ」


 先生はびっくりしたように目を瞬く。


「本当に?」


「なに驚いてんの? 変えろって、先生が言ったんじゃない」


「いや、そうなんだけど……もうちょっとてこずるかなって思った」


「それは期待外れで残念だったね」


 私はわらった。先生に人差し指をつきつける。


「ただし、守ってもらいたいお約束があります! これを守れなきゃバイトはしません」

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