先生さまはキスで繋ぐ
「主催者側がオゴリなのは当然でしょ? オゴリじゃないなら行かない。ねえ、ハルカ」


「いや、私はオゴリでも行かな――」


「わかった。カラオケ代くらいなら出すよ」


 私の声を遮って、石川は頷いた。


「はい、決まりね。んじゃ行きましょう」


「……藤堂、行くか」


「ああ……うん」


 とっとと歩いて行ってしまう円華の後ろを仕方なくついて歩く。


「石川、友達って誰よ?」


 隣を歩く石川に尋ねると、彼は苦笑を浮かべた。


「うん……まあ、小中学校で一緒だったんだけどさ。無口で無愛想だけど、かなりモテてたヤツ」


「なんでわざわざあんたしか知らない友達を呼ぶわけ? てか、無口で無愛想だけどモテてたとかそういう情報求めてないよ」


「ああ……そうか、そうだよな。でもまあ、いいじゃん」


「はあ、そうだね」


 なんだか挙動不審な石川を文字通り不審に思いつつ、私はカラオケについて行ったのだった。







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