先生さまはキスで繋ぐ
「え……なんですか?」


 同い年のはずなのに、私は思わず敬語で聞き返してしまった。


「……困ってる? いきなり知らないヤツとカラオケとか」


 ボソリと、桂木くんは言った。


「あー……石川はいっつも突拍子ないから、困ってはないけど」


「そうか」


 頷いた桂木くんに、私は首をかしげた。


「……今日のカラオケは、石川が主催者でしょ?」


「……俺が頼んだ」


「え?」


「ここだここだ。よっしゃ、まず何歌う?」


 いつの間にか伝票の番号と同じ部屋に到着していた。


 円華がはしゃいで、私の手をひく。


「やっぱり最初はアニソンだよね!」


「え、それはちょっと。アニソンって少し慣れてきた頃に歌うのが鉄則でしょ」

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