先生さまはキスで繋ぐ
「誰が決めたの、そんなの。私はアニソンで始まりアニソンで過ごしアニソンで終わる!」


「アニソンしか歌ってないじゃん」


 円華のおかしなところは、若者らしい曲をききあさるわりにカラオケではアニソンしか歌わないところ。


「ハルカももちろん歌ってくれるでしょ?」


 デンモクをとりあげ、円華は鼻歌まじりに言った。


「ちょ、やだよ! 知らない知らない、タイトルからして知らないよその歌!」


「知らないの? なあんだ」


「てか倉本、自由すぎだろ。初メンバーで初っ端からアニソンはヘヴィ」


 石川が苦笑した。


「なにさ。あんただってどうせロボものしか歌わないんでしょ?」


「なんで俺そんなポジションになってんだよ! ロボもの見たことねえわ!」


 円華の発言に、石川はかなりびっくりしていた。当然だ。


「……ねえ、あの……桂木くん?」


 デンモクを手にぎゃあぎゃあ騒いでいる2人から離れ、私は入口近くに座っている桂木くんに近づいた。


「なに」


「……俺が頼んだって、言った、でしょ?」

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