先生さまはキスで繋ぐ
 私は思わず笑ってしまった。


「あんなところに出入りしてるの? 意外」


「お互い様だろ」


「まあ、それもそうか」


 頷いてから、


「ああ、もしかして、紅茶が目当てのお客様? うちのお客様、2パターンいるからね。うん、それなら納得」


 うちの紅茶おいしいでしょう、と言うと、桂木くんは首を振った。


「確かに美味しいし、あそこの紅茶は好きだけど、べつに紅茶目当てで通ってたわけじゃない」


「違うの?」


 私は目を見開いた。


 紅茶目当てじゃないとすると、まさか。


「メイド目当ての方なの?」


「悪い?」


「いや……悪かないけど。だって、それも売りだから」


 悪くはないけれど、意外。かなり、意外。これ以上ないほど、意外。

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