先生さまはキスで繋ぐ
キス魔ですけど?
北口彼方は、カラオケ店の最寄り駅まで車で迎えに来てくれた。
一度乗ったことのある車が、ひっそりと隅の方に停車してある。
サングラスをしている先生が運転席に乗っているのを確認して、私は驚いた。
「……先生」
「よー、カラオケ楽しかった?」
運転席の窓を開けて、そう言って笑った先生に、私は眉をひそめた。
サングラスを取り上げる。
「……髪、切ったの?」
うっとうしいほど目を覆っていた前髪が、すっきりと短くなっている。
全体的に、軽くなっているし。
先生の隠れ端正な顔は、もう隠れていなかった。
「あー、買い物ついでに。……似合うだろ?」
ニッ、と口の端をあげた先生を私は無視して、後部座席に乗り込む。
「ノーコメントっすか」