先生さまはキスで繋ぐ
「へえ」


 青いインコ。


 鳥籠に一羽だけでは、たしかに、寂しいのかもしれない。


 閉ざされた空間に、独りきりで閉じ込められて、その翼は、空をつかめないのだから。


「さて。夕飯作ってもらおーかな。お前、冷蔵庫とその辺勝手に漁れよ。何でも使っていいから何か作って。俺好き嫌いないし」


「ほんとうに? 本当に好き嫌いないの? 作ったあとにこれ苦手とか言われても、無理やり食わせるけどいいの?」


 先生は苦笑をうかべた。


「はいはい。なんでも食ってやるよ」


「言ったね! 今、言ったね!」


 ズビシッと効果音がつきそうなほど勢いよく人差し指をつきつけてやると、先生はちょっぴり怯えたような表情になる。


「え、なに? 何か、人間にはとても食べられそうにないものを作るつもりなのか? まあなんでも食ってやるけど」


「そんなもの作る方が難しいわッ!」


 誰が人間には食べられないものを作るつもりだ。


 ていうかあんたはそれを作られても食べるつもりなのか。


「……先生」

< 74 / 75 >

この作品をシェア

pagetop