桜下心中
 ちょっと嫌な感じだなと思ったけれど、圭太の手前、不機嫌な顔も出来ない。

「こういうのが好きなのか~」

 じろじろ見てくる糸田は、相変わらず坊主頭で太っている。
 すると、圭太の顔が険しくなった。

「構うなよ」

「おっと、怖いじゃないか」

 それでも糸田は、くねくねと、いやブヨブヨと言ったほうがいいか、ブヨブヨ笑っている。

 ブヨブヨに惑わされそうだけど、なんとなく目は鋭い。

「邪魔はしないさ。じゃあまた」そう言って、店を出ていった。


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