桜下心中
「ごめん、なんか」

 左手の親指の腹を顎に当てる仕草は圭太の癖だ。

「なんとも思ってないわ」

 圭太の側に、明らかに不釣り合いで居るんだもの、仕方ない。

 例えば、糸田がそういうつもりじゃなくたって、値踏みされたのはまちがい無いのだし。

「高等学校からの、友人というか。でもあまり関わり合いになりたくないんだけど」

 一応は、糸田のことを話してくれるようだ。

「俺が教授の息子だとか、そういうので、ちょっと。からかわれるというか」

 要するに、チョッカイ出されて迷惑してるのか。あちらは不良なのかもしれない。


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