桜下心中
 冷たい空気に気付き、目が覚めた。


 まだ辺りは薄暗いけれど、うっかり眠ってしまったようで、

 次の瞬間、しまったと思った。

 月明かりの中に居た圭太は、セーターだけ残して居なくなっていたのだ。

 辺りを見回すが、誰も見あたらない。


「圭太……」

 
 辺りは薄暗く靄がかかり、川の水音が聞こえる。

 早朝の新聞配達をする自転車が、遠くに見えた。



< 47 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop