空の彼方へ2
やっぱりあの焼け焦げたような黒い右腕だった。


「…お前…苦しいな…」


リリアの頭の中にはあの夢が甦る。


「…人間に虐待されて…お前はそうなりたくて生まれたわけじゃないのに…」


「……」


「人間は…なんで自分と違う人間を認められることができないの?!」


リリアは自分がそんな人間のうちのひとりというのに悲しくなる。


「…私…もう嫌だよ…悲しいよ…もうお前にそんな思いさせたくない…っ」


リリアはグレイスに抱きつき、泣く。


「お前は…人間の中で初めて俺を認めてくれた…お前はあんな心の汚れた人間とは違う」


グレイスもリリアを抱きしめる。


< 131 / 219 >

この作品をシェア

pagetop