空の彼方へ2
「おい…濡れるぞ」


リリアはグレイスを傘に入れようとする。


「いや、そんなことはしなくていい」


「なんでだよ、風邪ひくぞ」


リリアはグレイスをまた傘に入れようとするが彼は断る。


「俺はこうした方がいいのだ」


「でも…」


「お前はまだ知らないか?」


グレイスは自分の長袖を捲る。


「……っ」


彼の右腕には何か刻まれた跡が……テールの城にいた時はよく見えなかったが、今ははっきりと見える。


「悪魔の子どもよ…お前は人間に見放され呪われながら死ぬ運命にある…なんだこれ」


腕に刻まれた文字を読んだリリアはグレイスを見る。

「…俺はただのラナ族ではないんだ、ラナ族と悪魔の子ども…と言われる」


「なんで?」


「さあな、しかし俺は母親である悪魔に腕を刻まれて、それが今この右腕だ」


「なんでお母さんがそんなこと…」
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