空の彼方へ2
「ぅ…うわぁぁぁ!!」


悲鳴を上げてグレイスはまた気を失う。


「大丈夫かよ…グレイス」


リリアはグレイスを抱き上げる。


「とにかく、俺のベッドで彼を寝かせておけ!」


セラフィーがそう言ったので、リリアはグレイスをベッドに寝かし、しばらく彼の近くにいた。


「…グレイス…」


リリアはベッドの左側に回り込み、彼の右腕を見る。

「…お前…辛いな…悪魔の子って…こうなってしまうのか?グレイス…」


リリアは眠るグレイスに少しずつ声をかける。


「グレイス…私…守るからな、お前が悪魔にならないように、ちゃんと守るから…」


リリアはグレイスの右手を優しく握る。


相変わらず彼の腕は心臓のようにどくどくと鳴っている。


「…頑張れ…」


リリアは彼の右手を掴んだまま、そのままじっとしていた。

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