モテ男と勤勉オンナの【秘】ラブ・ゲーム
「お礼とか考えなくていいから、お茶…飲んで」


「どうして?」


「淹れた人に対して失礼だから」


『どうぞ』と言わんばかりに、手を出して席を進めてくる


私は席に戻ると、すっかり冷めているお茶に視線を落とした


「お茶を飲めば、返してくれるのね?」


「ん。僕は約束は守るよ」


私はお洒落な柄のカップに手をかけると、お茶を口に近付けた


「あ…いい匂い」


ごくりと一口、喉の奥に流した


スーッと鼻に突き抜けるような爽快感の中で、ふわっと甘い香りがあがってくる


「甘い」と言ってから、私はまたお茶に口をつけた


「それはね…甜茶って言うんだ。レモングラスの葉が少し入ってるから、爽やかな香りがして……花粉症の予防にもなるし、苛々した気持ちを落ちつける効果もある」


ハルが説明してから、紅茶を飲んだ


「…で?」


「それを飲んで、落ち付けってこと」


< 112 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop