地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
決まったって、バイト先のことだよね?

それは……。


「まだだよ……?」


今、探し中なんですよ。

寝ぼけた頭で答えて、顔を上げる。


「ふ~ん。じゃあさ、俺んとこでやるか?」

「へっ!?」

「バイト。俺と一緒に会社の仕事するか?」


思わぬ陸の提案に、眠気も一気に覚めた。


陸のところでバイト? 会社で? 一緒に?


「う~~ん……」

視線を外して、考える。


会社でバイト……あたしなんかが良いの?


「杏の頭脳と、仕事の出来からならまったく問題ない」


考えていたことをピタリと当てられた。

顔を上げて、陸を見る。


「やるからにはお前のことをバイトだと割り切るけど、今よりは一緒にいれるだろ?」


優しく頬を指で撫でられた。



陸のところでバイトをすれば、今よりも一緒にいられる。

始めようとした理由である“寂しさ”もなくなるだろう。


でも…………。


「ありがとう。でもごめん……陸のとこじゃしない」


そう返した。

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