地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
瞬時に見開かれる陸の目。

あたしの答えが意外だったみたい。

そりゃ、一緒に出来たら嬉しいんだけど。


「なんで?」

「それは……」


理由を問われる。

ん~……理由……ね。


「陸のところじゃ、意味がないんだよ」

「は?」

「陸は滝本の社長だけど、あたしの彼氏でしょ?」

「あぁ……」


バイトなら、割り切ると言われたけど……あたしがムリなんだ。

陸が近くにいたら、甘えたくなってしまう。

大学でまともにふたりになれないんだもん。

周りは女の子だらけだし。


それに、会社の人達が迷惑でしょ?

バイトでも、社長の彼女がいたら仕事がやりにくいだろうし。

あたしは、陸と関係ない場所で……自分の力のみでやってみたいんだ。


「社会勉強なら、陸と関係ないところでやりたいから」

「……」

「陰陽師だとか、神崎の一人娘とか、全部関係ない場所でやりたいんだ。ごめんね、でも誘ってくれてありがとう」

「……」


そう告げると、黙り込む陸。



1分くらい経った後、口を開いた。



「……杏らしいな」


フッと柔らかい笑みを浮かべて───……。

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