地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
わかってくれた。

そう思ったら、嬉しくなってニコッと陸に微笑む。



「けど、夜の蝶のバイトだけはダメだからな?」


……ん? んん?


「夜の蝶? なにそれ? どんなバイト?」


聞き慣れない言葉がわからずに、聞き返した。


「し、知らないなら良い……」

「はい?」


プイッと顔を背けられる。

お~い? 陸が言い出したことでしょ?

答えてくれても良いじゃん。

「純真無垢でよかった……」とか呟いてるし。


不思議で、陸の顔を覗き込んだ。


「陸? なんなの?」って、聞きたかったのに。


「んんっ……」


口を塞がれ、言わせてくれない。

あたしの腰を引き寄せると、さらに深いキスをされる。


甘くて甘くて、とろけちゃいそう……。



息も苦しくなってきた頃、ふと陸が離れた。


「なぁ……」

「んっ……?」

「なんでメガネしてんだよ。キスすんのに邪魔なんだけど?」


そう言って、あたしがかけていたメガネを抜き取ろうとする。


「やっ! だ、ダメ!」


甘い雰囲気を一気に崩すように叫んだ。




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